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江戸時代は下り坂の時代?

古典落語の舞台となる江戸の街は、当時としては世界最大規模を誇る大都市だったそうです。

落語に出てくる「江戸の3千両」 

一日に3千両もの金が落ちると言われた、魚河岸、芝居街、遊郭、を中心にさぞや景気の良い時代だったかと思えばそうでもなかった様です。

大分前になりますが、日経新聞月曜日のコラムにこんな記事が載っていました。

なるほど・・・・です。

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江戸時代の知恵に学べ(日経朝刊 2009年2月2日)

「下り坂経済」を生き抜く

(田中靖浩氏へのインタビューで構成されています)

● 百年に一度と言われる金融危機ですが、腹を決めて経済の「下り坂」を受け入れようと提唱されていますね。

「危機の震源地となった米国は一九三〇年代の大恐慌などを除き基本的に右肩上がりの成長を長く経験してきました。だからいったん下り坂になると弱さが出るように思います。

一方、日本は江戸時代に何度も大きな飢饉(ききん)を経て、その後半には低成長や人口減少の時期を長く経験しています。

自然の前では人間の力などごく小さく、腹を決めて現実を受け入れるしかない。そう考えれば経済が下り坂でも生き抜くことができるはずです」 

● しかし成長を放棄して縮小均衡の道を歩めば社会が成り立たなくなりませんか。 

「もちろん、みんなが成長を放棄したら国は税金が取れず立ちゆかなくなります。成長を無視して良いわけではありません。

でも、みんなが際限ない上昇志向にとらわれるのも問題です。現在の金融危機は『もづと利益藍『もっとお金を』と際限ない欲望にとらわれてしまったことに原因があるように見えます」 

「私がかつて在籍した外資系コンサルティング会社も、社内の人間の上昇志向はものすごかった。そこまで欲を持たなくても分相応で良いのではないでしょうか」

● 具体的にどうすればよいのでしょう。

 
「江戸時代後期、『下り坂』の時代に発展した古典落語には道具屋や質屋などの商売がたくさん出てきます。

江戸の庶民はそれらをうまく利用しリサイクルしていました。現代の企業会計的に言えば、資産を眠らさず効率的に運用していたともいえます。家が狭くてモノがない中でどう生きていくかという知恵は、今よりはるかに進んでいました」

● 当時の庶民の知恵に学ぶべきだと。 

「庶民だけではありません。同じ江戸時代後期に農村経営コンサルタントとして活躍した二宮金次郎は、一般的には薪(まき)を背負って歩きながら本を読む銅像が有名で『質素倹約の人』というイメージです。

でも、実際は少し違うのです。彼は若くして山を買い、その山で拾った薪を売ってかなり稼いでいた。

彼は『もっと良い生活をしたい』という欲は肯定しました」 

「ただ、その欲の上限をはっきりさせる必要があるとして、それを『分度』と呼びました。『分度』のために農地の収量を徹底的に測定し、その収入に応じた生活をするよう指導したのです。

むやみに収入を増やそうとするのではなく、収入の範囲で生活の質の向上を考える。現代人にも参考になるでしょう」 


田中靖浩氏 たなか・やすひろ (公認会計士)
63年生まれ、早大商卒。公認会計士試験に合格後、外資系コンサルティング会社を経て独立。著書に『右脳でわかる!会計力トレーニング』など。落語家とのコラボレーション・イベントなどにも力を入れている。


(聞き手から)
企業会計を素人向けに解説した田中氏の著書がこの種の本としてはベストセラーになっている。難しい問題を少なくともわかった気にはさせてくれる名人だ。経済の下り坂を素直に受け入れるのは難しい面もあるが、苦の知恵に学ぶべきだという主張にうなずく人は多いだろう。  

(編集委員 宮田佳幸)

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